紹介

美濃焼への思い

奥磯 太覚

海外からの陶磁器を模倣するのみだった高級陶磁器が、茶の湯の発達と共に日本人固有の美意識によって最初に作り出されたのが、美濃焼であると思います。

そして、美濃焼の代表格と言われる、志野が誕生してから400年以上が経ちます。

現在の焼き物は交通手段の発達により、土地固有のものよりも、作り手や使い手がより使いやすいようにと変遷し、その独自のものが失われてきました。

いったい何に重きを置いて物作りをするか。天然素材にこだわるか、合成素材で済ますか。各地から取り寄せて、いったい何処の物か分からない物よりも、使いにくくてもその土地の癖が出ている物を使っていきたい。

私は美濃に生まれ、父の美濃焼とは何かという姿勢を見て育ちました。その中で得た答えが、「土地のものを活かした物作りがしたい」というものです。

モグサ土の持つ柔らかい、きめの細かい、そして削りの荒さを活かすには何が一番向いているか。

生活が便利になり、生活が多様化したことにより時間をゆっくりと過ごすことが少なくなり、物を使いこなして育てると言うことに時間を割くことも減りました。

モグサ土は育ててこそ味わいの出るものです。 なので、日本の文化の中では、抹茶茶碗が一番適していると考えます。

工芸品は人の手で使われることで、その価値が分かってくる。美濃の価値は何処にあるか、ひいては日本の価値は何かにかかってくると思います。その贅沢も材料があればこそです。

陶磁器の材料は数億年前に作られ、それと同じものは二度と存在しないでしょう。その貴重な物をいかに人の生の中に活かしてやるか。その思いで、自然の力を取り込み制作を続けていきたいと思っています。

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